採用活動に対する考え方
の続き。
この取り組みをしていた会社は、毎年着実に事業成長していて、経営状態の優秀なベンチャー企業でしたが、知名度は低い会社でした。
そのため、募集をかけても、名前の通った大手とバッティングすると、知名度、給与待遇など、採用力で敵わない状態でした。
そこでWantedlyスカウトでも、ただ単に取り組むのではなく、工夫を凝らすことを考え抜きました。
人事だけでなく、現場全員の総力戦で、生きた採用活動をし、会社を知ってもらい、中の人のことを知ってもらい、選択肢にしてもらうこと。
そしてこちら側からは、価値観が合う仲間探しに拘りぬき、ただスキルがある人だから採用するのではなく、価値観が合う人を採用することを。
価値観が合わないと、雇用してもお互いいい状態が続かないからです。
こうして、今回の取り組みを始めていったのでした。
人によって獲得できる返信数や面談数に差がでた
いよいよ全員採用活動の開始、です。
そうして、Wantedlyスカウトを活用して、全員採用に取り組んで一週間、そして二週間と経過。
振り返りをする中で、成果と課題を共有しながら、次の件数目標の設定を繰り返していく。その繰り返しの中で、
同じ送信件数でも、人によって獲得できる開封数、返信数や面談数に歴然とした差が出てくるようになりました。
獲得数差の理由
その獲得数差の要因は何だったのでしょうか。
- 着手スピード
これは何のことかと言えば、候補者がWantedlyに自分の情報を載せた、更新したその日から近いほど開封されやすくなるのではないか、という考えからのトライです。
候補者が書いている中身の濃さ、よりもスピード重視。
求職しだしたばかりの人は、まだWantedlyに慣れていないので、自分プロフィールをしっかりと書けていないケースが多く、かつ、まだ具体的な転職活動が始まっていないことも多いのです。
とは言え、登録するくらいなので、転職意欲は旺盛なことも多い。
このホットなタイミングを狙ってアプローチすると、開封率も上がるし、返信ももらいやすい、ということがあります。
- プロフィールの充実
これは見られてからの話です。登録者は、メッセージ開封後、
- どんな会社なのか
- 送ってきた人はどんな人なのか
を見ます。そこで送ってきた人のプロフィールが充実していると
- 職歴
- 仕事内容
- どんなタイプの人なのか
- 仕事の価値観はどうなのか
ここを書き込めていることが重要です。
- Wantedlyスコア100以上
これはプロフィールの充実度を測る指標として目指したいものです。
Wantedlyスコア100以上にするためには、プロフィールも文字数、経歴詳細、表彰歴、出版(ブログでもOK)歴、周りからの推薦、などの充実が必要です。
なかなか骨の折れる作業ですが、ここまでやるとプロフィールに相当なインパクトが出てきます。
- メッセージに乗せている気持ち
ここがとにかく大事です。沢山スカウト送るためにはある程度テンプレを作って運用するのが効率良いのでおすすめですが、
その中でも
- なぜあなたに声をかけたのか
ということを、登録者の
- 経歴
- 自己紹介
- この先やりたいこと
などから読み取って、メッセージに加えていきます。そう、候補者への
- 手紙
であることを忘れないように。候補者の気持ちになればわかりますが、
- ここまで読んでくれていて、声かけてくれたのか
- テンプレではない、心のこもったメッセージであることは評価できるな
と、印象が良くなり、反応につながりやすくなります。
- 対象範囲を広げる
例えば、IT系の営業を募集している、のだとしても、
- ルートセールス、建設や不動産など異業種でも営業なら対象にする
- マーケターやCSなど、近しい領域の仕事を希望している方も対象にする(特にマーケターはあり)
こうすることで対象者がグッと拡がります。
マーケター希望者に営業のスカウトはそうそう来るものではないですので、
予想外のところからスカウトがくると、結構な確率で読んでくれたりします。
適正は本人の中でわかっているようでわかっていないもの。若い方は特にそうです。
営業という仕事を、先入観をもって選択肢から外している人もいます。
そこで、その仕事の魅力をスカウトメールのなかでしっかり伝えることができれば、面談に漕ぎ着けることが意外とできたりします。
こうしたことから、取り組む人による差が生まれてきました。
別のサービスとの比較
Wantedlyでスカウトメールを毎週大量に送信し続けて3ヶ月。もはや送り先の候補者を探すのが一苦労という状態に陥りました。
いわばリストが枯れた状態です。
そこで、他のサービスも検討し、GREENを使ってみることにしました。
こちらは登録者のプロフィールや希望年収などの情報が充実しているのが特徴で、登録者数も多く、その情報量自体は悪くないサービスです。
ところが使ってみた結果、手応えとしてはWantedlyに遠く及びませんでした。
- 登録者とのやりとりの質が良くない
- 反応が良くない
レスポンスがあってもなかなか面談に至りませんでした。
そしてそもそもタイムリーな反応をなかなか得られ無かったこと。
GREENから登録者への連携に課題があるのではないか、そう思えるくらい、こちらのスカウトメールに対するレスポンスが遅い、あるいは無かったのです。
Wantedlyで培ったスカウト文を使い、タイミングもホットな人を狙い、スカウトメールの数も打ったのに、ひとことで言えば反応が良くないのです。
- Wantedlyではスカウトメール送信からの平均の面談獲得率が12%
- GREENは3%
Wantedlyに集中することにしました。
他のやり方を考えてトライしてみたり、面談→面接に進めた際の課題など、様々なことが起こりました。
総括
半年間でスカウトメールを500通送信し、そこから60人と会い、最終面接までこぎつけたのが6名、採用できたのは1名。
日々の業務が当然ある中で、毎週毎週、膨大な工数をかけました。毎週一人あたりで、
- リストアップで1時間
- スカウトをメールを打つので2時間
- そこから12%の確率で面談が入ればプラス2時間(前後の工数を含む)
- 面談は人により偏りがあり、獲得率が高い人30%超えだったので、6時間
ほぼ1.5営業日使ってしまう、本業が人事採用なの?っていう状態ではありました。
では、これだけ膨大な工数をかけたことが果たしで無駄だったのか。
この採用結果だけ見ると思ってしまいます。
しかしながらそんなことはありません。得たものは沢山あります。
- この活動自体が、会社のプロモーション、PR活動だった
会社の宣伝、コアなファンづくりに繋がりました。
- 社員の意識が向上した
会社の説明を初めて会う方に、それもマンツーマンで数多く行い続ける。
営業の取り組みから、マーケ、CS、エンジニアと、このやり方が社内中に伝播し、確実に社員達から見た会社の良さの再認識、誇りに思う気持ちの醸成、そういった部分に良い影響が出て、社員達の目線が変わっていきました。
- 採用がいかに難しいことなのか。全社に共通認識が揃った
入ってくれたメンバーに対して、今まで以上に感謝し、本気で向き合うこと。
現場が、会社や自分の仕事とは何か、ということに対しての意識が高まったこと。
社員達が、改めて採用を我が事として捉えるようになったこと。
こうした社内への影響があったことが一番の成果だったのかもしれません。
これからスカウトメールを活用しようとしている方、すでに取り組んでいる方の、何らかのお役に立てていたらと思います。
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